Tsukuba DTM blog

筑波大学作曲サークル DTM Lab. のブログ

カノン進行を応用していい感じのコード進行をつくる(12/9)

はじめに

みなさん、こんにちは。フトンガメです。 今日のアドベントカレンダーは有名な進行のひとつ、カノン進行を応用してみよう!という記事です。

カノン進行の基本形

まずおさらい。カノン進行の基本形はディグリーネーム式で以下のように表現されます。

Ⅰ→Ⅴ→Ⅵm→Ⅲm→Ⅳ→Ⅰ→Ⅳ→Ⅴ

key=C majでは C→G→Am→Em→F→C→F→G です。 ディグリーネーム式はあんまり慣れていないので、この方式でコード進行の組み方を説明します。

これを改造していこうと思います。

カノン進行の美しさを増強する

カノン進行の美しさは「ルート音の下降」にあると考えています。 そこでまず、上のガタガタのコード群を転回してきれいにしていこうと思います。  C→G (下からソシレ)を G/B (下からシレソ)にすることで、ルート音をC→Bと動かします。 同様に、  Em→Em/G(ソシミ) C→C/E (ミソド)と変更します

これにより、ルート音が滑らかに動くようになり、動きにゆとりが生まれました。

コードを分割・変更する

次にコードそのものを変更していこうと思います。 4拍おきにコードを変更するだけでは冗長に感じてしまうので、、、

変更点その⓵

 GをBm7-5とE/Bに分割  (※Bm7-5はシレファラ、E/Bはシミソ#) とてもエモいです。Bm7-5の切なさにE/Bのそのリカバーが入ることで、めちゃくちゃいい進行になります。

変更点その⓶

  EmをGとG#dimに分割  (※Gはソシレ、G#dimはソ#シレファ) これもエモいです。ルート音がここまでド→シ→シ→ラ→ソ→ソ#と進行するのでより滑らかになるし、 そもそもV→V#dimという動きが多用される気もいのいい進行なので軽率にぶち込んでいきましょう。

変更点その③

 F→CをF G Em Amに分割 やっぱりⅣから始まると王道進行ですよね(456は異端)

変更点その④

 FをDmに変更 最後の進行ですが、Ⅴに行ったあとに再びⅠに戻るので、Ⅳ→Ⅴ→Ⅰはもったいないですね。 ツーファイブワンの動きを用意しましょう。FをDmに変えることでⅡ→Ⅴ→Ⅰが作れて最後にふさわしい終止感が出ます。

以上の4つの変更点を施し、このようになりました(もはやカノン進行ではない)

C→Bm7-5|E/B→Am→G|G#dim→F|G→Em|Am→Dm→G

メロディやオケを追加して完成!

できたコード進行のリズムを少し変えて、コード進行が完成! これをトランスポーズ機能を使ってkey=Fに移調して、ボーカルやらリズム隊やらいろいろのっけて完成です

この曲は12月に公開されるEP「オールナイトDTM」に収録される曲の一節です。 オールナイト企画、すなわち一日でゼロから完成まで曲を作るという企画で、3分ぐらいあるボカロ曲を書きました。

さて、一日で曲を書くのに必要な能力は何か?それは爆速でコードを考え、それに合うオケを乗せることです。 今回扱ったフレーズは10分くらいで作りました。 わたしのコード進行の組み方はおおむねこの記事で紹介した通りで、言ってしまえば有名進行のつぎはぎです。 しかし、ところどころにアレンジを加えることで新鮮さと複雑さと安心感を兼ね備えた進行を作ることができます。 ぜひ、コード進行に迷える方々はこの方法を試してみてください。