Tsukuba DTM blog

筑波大学作曲サークル DTM Lab. のブログ

実録!メジャーキーマイナーキーの違いも知らなかった素人が生まれて初めて曲を完成させるまで![その1]

実録!メジャーキーマイナーキーの違いも知らなかった素人が生まれて初めて曲を完成させるまで![その1]

はじめまして.アメミヤです.

サークルでブログを書くと言われて,文章を書くのもそれなりに好きなので立候補したはいいものの,サークル内で一番の新参なので何を書けば良いかわからないまま書き始めて,結局書き終わるまでに締め切りをオーバーしてしまった.挙げ句の果てには書くことをまとめきれなかったので,ブログ自体が不定期企画なのにも関わらず,何回かに分割しようとしている.これが新参のやることか.本当にすみません.

このブログはDTMにまつわる有益な情報であったり,昔の企画振り返り,だったりと言った記事を書くものらしいけれど,僕は新参でありかつDTM自体が初心者で有益な情報など(みんな知ってるような今時有益でもない情報ぐらいしか)持ち合わせていない.なのでこれらの話はサークルの先輩方に任せて,最近生まれて初めて曲を完成させたので,その感想や,実際に作ってみて分かったことなんかをダラダラと書いてみたいと思う. こんな複数の記事に分けてまで長々と何が言いたかというと,結局「曲作るのは思ったより簡単だよ,みんなも作ってみようよ!」みたいなことで,来年入ってくる新入生に対してなんらかの励みにでもなればいいかなと思っている.ならないか.


メロディの丸パクリに気をつけよう!(当然)

文化祭で立ち寄った大学のDTMサークルのブースで,そのパフォーマンスに感激してその場で加入を決意,したはいいものの,知識も技術もお金もなく,「いろいろなdawを試したい」と言い張ってろくな活動をしないまま一ヶ月が経っていた.

せっかくサークルに入ったのだから曲作らないとなあとは思いつつ,何から手をつければいいのかも分からず,極めて微妙な時期に加入したため先輩方になかなか聞くこともできず……挙句には自分で音楽理論を勉強すればいいものを,何も知らないくせに曲を作りたい,創作がしたいという意欲だけは先行していて,デモ盤のdawを立ち上げてはそのままの画面と睨めっこして,結局なにも作れずにdawを閉じてYoutubeで関係ない動画を見る,と言う体たらくだった.

そうした生活を続けていたある日,講義前に大学近くにあるゲームセンターでチュウニズムにいそしんでいると,ふいに頭の中をピアノのメロディが流れた.

プレイ中に席を外すわけには行かないので,そのメロディを必死こいて忘れないようにしながらその後2曲ほど遊んで(言うまでもなく結果は散々だった),1プレイ終了したあと,慌ててその場を離れてdawを立ち上げて,思いついていたフレーズをメモした.

キーも何も理解していなかった僕にとっては,頭の中を流れている音楽をパソコンに落とし込むことすらも困難を極めた.頭の中を流れている一番最初の音と,dawの内蔵ピアノの音とを照合する.違う音階が流れている時に,頭の中に流れているメロディの方がそちらに釣られそうになる.

そうしてどうにか必死こいて打ち込んだフレーズを改めて聞いた時,寒気がした.

頭に流れていたフレーズを僕は素晴らしいフレーズだと思っていた.自分は天才かもしれないとさえ思った.しかしながらそれが素晴らしいフレーズであることはなんの疑いようもないことだったのだ.「降ってきた」と思っていたフレーズは,それが「降ってきた」ときちょうどプレイしていた楽曲のフレーズとまるでそっくりだったのだから.

思い込みの力は怖い,と僕は思った.このようにしてパクリ曲は生まれてくるのかもしれなかった.いつか僕は他人が作った曲と全く同じ曲を,自分が作った曲だと言い張って発表するかもしれないと思うとゾッとする.幸いにも改めて聴き直してみたら結構違ったので良かったものの,どんな時でもパクリには気をつけなければならない.すべての曲は往々にして過去に作られた何かしらの曲のパクリである,みたいな話を聞いたことがあるけれど,だからと言って実際に曲を聞いて直接インスパイアを受けないと何も思いつかないという状況は良くない.

冒頭に載せた曲のイントロのピアノが実際のそのメロディである.

いずれにせよ,メロディを考えて打ち込むと言う作曲の第一段階を結果的に超えることが出来た.しかし先程のセルフパクリ疑惑により,このままではせっかく自分で考えた(はずの)メロディだけでなく,曲全体のイメージがその曲に引っ張られてしまいそうだった. 次に考えるべきことは,その曲のイメージからいかに独立し,次の展開に持っていくか,であった.

初心者はWikipedia音楽理論を学ぼうとしない方がいい!(諸説あり)

メロディが出来てこれをいざ曲にしようという時に真っ先に考えたことは,終盤あたりでこのフレーズをもう一度出そう,と言うことだった.セルフパクリ疑惑こそたものの,それがそれなりに自分のオリジナルのフレーズと言って良さそうだと分かると,かなり良いメロディだと思えた.良いメロディは何度でも使いたくなるのは仕方のないことだ.それに加えて,一度使ったフレーズをそのまま投げやりと言うのでは,曲全体のまとまりがなさそう,と言う初心者なりの印象もあった.もちろん独立したフレーズを力技でくっつけて,まとまりのあるいい曲を作る人はたくさんいるが,少なくとも初心者の土俵では無いように思われた.

終盤にもう一度このメロディを出すと言う構想をあっためつつ,メロディと一緒に頭の中を流れているコードをdawに落とし込もうと考え,知っているコードを当てはめながら聞いてみたりしたが,いずれもしっくりこない.

それもそのはず,なんとこのアメミヤ君,まともなコード進行はおろか,マイナーコードとメジャーコードの違いも分からない素人オブ素人なのであった!

これでは展開など思いつくはずがない.仕方なく僕は感覚に頼るのを諦めて,今まで「難しすぎる,やったところで」と思って避けてきたコード進行の簡単な勉強から始めることにした.

Youtubeで「コード進行」で検索して, 上の方に出てくる動画を何本か見た.初めにメジャーコードとマイナーコードの違いから説明してくれる超絶初心者向けの動画だ. 難しくてわかるわけがないと思っていたが,あっさりと理解することが出来た.

ルート音(一番低い音)+ 半音で数えて4つ高い音 + 半音で数えて7つ高い音 = メジャーキー

ルート音(一番低い音)+ 半音で数えて3つ高い音 + 半音で数えて7つ高い音 = マイナーキー

言ってしまえばそれだけのことで,どうしてこんなことをおれは分からなかったのだろう,と僕は思ったが,それもそのはず,すべての原因は,アメミヤ君が昔作曲の勉強をしようとした時に見たものがWikipediaだったことなのだった.

ご覧になったことのある方ならお分かりかもしれないが,Wikipedia音楽理論の記事は,全くと言っていいほど素人向けには書かれていない.それにもかかわらず,まともなネットリテラシーのなかったおれは,「とりあえずWikipedia見ておけばなんとかなるだろ」という浅はかな考えから,音楽理論Wikipediaを見てあまりの難解ぶりに絶句.以来音楽理論のことをなるべく考えずに生きてきたのであった.今までに「Youtubeになら素人向けのわかりやすいやつがあるかもしれない」などと考えたことすらなかったのだ.

そもそもWikipediaは百科事典であって教則本ではない.Youtubeで「コード進行」などで検索すれば,初心者向けの解説動画がごまんと出てくる.それなのにそうしなかったのは,Wikipediaの記事を初めて見たことで,元より持っていた「作曲は難しい」と言う先入観を,ますます強めることになってしまったからだろうか. 理論がわからなくてもそれなりに音楽は作れる,と言うことを実際に曲を完成させて知るのは,それから一ヶ月ほど後のことである.

音楽理論なんかいらない,と言う話ではない.感覚だけで曲を作るのにも限界があるし,間違いなく理論が大事になる時は来る.しかしそれは今ではない.だからこれは,単におれが理論を突き詰める以前の問題だったと言うだけの話である.

基礎がないことには先に進めない.それは音楽に限らず言えることだろう.wikipedia音楽理論を理解しようとすることは,アルファベットが分からないのに英語の長文を読んで内容を理解しようとするようなものであった.なんとも馬鹿げている.アルファベットが学べて良かった.

このほかにも「分数コード(コードの構成音は同じだがルート音が異なるコード)」,「セブンスコード(一番低い音を基準として,通常の構成音に加えてその音のキーの7つ上の音も鳴らすコード)」などを学び,「曲のキーを知ることが大事」と分かった僕は,次の展開への第一手として,打ち込んだメロディの音階をもとに曲のキーを探ることにした.


(次回以降に続くかもしれない)